2014年12月28日日曜日

永遠の親友、その3

本当に逝ってしまったのだろうか・・・信じられないまま、受け入れられないまま朝を迎えたが相方の携帯やLINEにお通夜の会場や時間など具体的な情報が次々と入る。

やっぱり本当だったんだ・・・本当にYは逝ってしまったんだ・・・じわじわと悲しみと悔しさ、そして言いようのない切なさが込み上げて来る。

本当は一旦家に連れて帰りたいと家族は考えたそうだが、真っ直ぐではない階段の上に玄関がある家の構造を考えると諦めざるを得ず、病院から直接葬儀場へ連れて行ったそうだと連絡があった。

早く会いたい、顔が見たい・・・お通夜は18時から、松剣宅から車で20分程の葬儀場だと言うが、こんな朝早い時間に行くと迷惑だろうな・・・夕方時間より少し早めに行く事に決め、礼服やお香典の準備をしていると相方が、Yは華やかな雰囲気が大好きだったから友人一同で花を送ったらどうかと良い事に気づいてくれた。早速賛同者を募ると十数人集まったので『親友一同』として一対手配し夕方を待った。

喪服に着替えYの好きだったビールを買い、途中で相方の友人を乗せ葬儀場に向かった。
先に来ていたFが穏やかで綺麗な顔をしているよ、まだ控え室にいるからと案内してくれた。

控え室でママの姿を見つけると一気に涙が溢れた。大変だったね、辛かったですねと言うのが精一杯だった。我が子同然のまりもを看取った松剣と相方の辛さとよく似ているのかな・・・いや、きっとそれ以上なのだと思うと胸が張り裂けそうだった。

相方は既に柩の前で号泣していた。よく頑張ったね、今までありがとう、友達でいてくれてありがとうねと。ママは泣きじゃくる松剣に、苦しそうな表情じゃないんよ、凄く穏やかで寝ているようなんよ、見てやってと涙を拭きながら言った。

最後に会った時の、苦しそうに眉間にしわを寄せた表情は何処にも無く、今にも目を覚ましそうに穏やかな表情で横たわっていた。柩の上にビールを置いて相方と一緒に泣きながら手を合わせる。それでもやっぱり本当は寝ているだけじゃないのかと信じられなかった。

お通夜が始まりお寺さんの読経の中でYの生前の名前と戒名が読み上げられた。Yらしい良い名前を付けてもらったね・・・謝りたい事も沢山あったのに・・・一緒に行こうと約束していた温泉旅館、海水浴でのBBQ・・・約束も果たせてないままじゃん。色んな思いが込み上げ、まりもの時と同じくらい涙は止まる事なくいつまでも流れ続けた。

『面白い変なヤツが居る』。中学の後輩に紹介されたのは松剣19歳、Yはまだ高校3年生だった。汗臭い剣道部での青春時代を過ごした松剣の周りをいくら探しても見当たらない、強烈なキャラだった。

そして松剣とYは何もかもが正反対だった。神経質で綺麗好きでオシャレなY。話上手で人を笑わせるのが得意なY。ハチャメチャで木の橋でさえ叩かずに渡ってしまう。だけど憎めず放ったらかしには出来ないY。

食べ物の好みも全く違った。なのに毎日のように一緒に遊び、土曜日は朝まで居酒屋でいろんな話をした。童顔な2人でパチンコを打っていると18歳になっているかと店員に聞かれ、2人して憤慨した事もあったな。その内に誕生日が同じ事に気付きもっと親密に感じたんだっけ。
二十歳だった頃だな。お経を聞きながら色んな事を思い出した。

無事にお通夜が終わると、Yのお父さんが控え室に食事を準備しているから食べて帰ってと言って下さった。アウトローで親戚付き合いを嫌ったYの為に友人葬の形にしたから遠慮は無用との事だったので、親しかった友人達30名余りがママやお父さん達と賑やかに語り合い、Yの柩の前で何度も乾杯した。松剣もお茶で乾杯!この日は家族に混じってFをはじめ数名が夜伽をしたのだった。

翌日。松剣はやり残した仕事があったので朝6時〜10時まで職場に行き、相方は休みを取れたので11時半からのお葬式に二人で出席した。泣き腫らした目は寝不足も加わり重くて仕方が無かった。

昨日と同じお寺さんのお経でお葬式は粛々と執り行われた。今日でYの姿を見るのは最期と思うと昨日よりもっともっと涙が出た。若い頃から長生きはゴメンだと言っていたY。でも早すぎるよ・・・もっと話したい事あったのに。悔しくて無念でたまらなかった。それにしても今年は散々な年だったな・・・こんな悲しい事ばかり・・・

ご葬儀が無事に終わった後、お寺さんがこんな話をして下さった。
仏教では人が亡くなると、何とか如来さんと何とか菩薩さんだっけ?が迎えに来て、蓮の花の上にそっと寝かせてつぼみを閉じる。閉じたつぼみの中でゆっくりと仏様の元に行き、四十九日後に仏様になる為の修行を始め、その後は残された大切な人が迷わぬよう導いてくれる存在になると。

あり得ないと思った。みんなもそう思った。Yが四十九日もジッとしていられる訳がないし、
素直に修行なんてする訳ないじゃん。いつ迄も『遊び人Y』のままに決まっていると。

やがて出棺の時が来た。涙か鼻水かもわからないくらい顔はグショグショだった。Yの周りを花で一杯にし、好きだった煙草を顔の横に置いた。そうして棺のふたを閉める時が来たけれど、みんなYの名前を泣き叫び、なかなかふたを閉じられなかった。

柩を霊柩車に乗せるので手伝って下さいと言われ数珠をポケットに入れ先頭で柩を支え霊柩車に乗せた。拭いても拭いても涙は止まらない。その時だった。会館の方が、どなたか落とされませんでしたかと数珠の房だけを持って回って来られた。何か見覚えある・・・ポケットに手を入れると中で数珠がバラバラになっていた。

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