大惨事となってしまったこの度の土砂災害。被災地となった両区は、それぞれ松剣と相方の故郷。今でも家族や友人・知人が多く暮らしている。みんな被災は免れたものの、テレビは馴染みある地名と見慣れた風景を映し出していて、とても心を痛めていた。
すぐにでも被災地へと駆け付けたいが、ボランティアの受け入れ体制が整っていないと言うので、しっかり情報を得てから動くのが得策と思っていた矢先、組合連合からボランティア要請があった。正に渡りに船!二つ返事で手伝いに行く事にした。
集合場所に集まった百数十名が4台の大型バスに分乗し、松剣は同じ組合で職場の先輩でもあるNさんと共に、1号車で被災地へと向かった。
集合場所から北へおよそ12km。最も被害が大きかった地区に差し掛かる。バスが走る国道からはっきり見える。国道と並行してJRが走るが、今もこの区間は運休している。
松剣達が派遣されたのは、この地区から更に12km北。そこへ行く途中にも、そこかしこで土砂崩れが起こっていた。
車窓から写真に撮る事が出来ただけでもこんなにあり、小規模の物や見逃した個所を含めると、両手でも数えられない程。こんな事になっていたんだ・・・
唖然としながら派遣先に到着。人的被害が無かったので、テレビで報道される事の無い地域だが、ここも凄い事に。橋の上から撮影。この川の右手に国道が並行している。
ボランティアの要請があったのは、この川と国道を挟んだ山側にある集落から。国道横の川の支流付近の被害は甚大だ。
この支流の川が氾濫。今でも濁った水が流れる。
道路が寸断されていて、この道より上のお宅へは行き来ができない状態。
めくれ上がったアスファルト、剥き出しになったマンホール・・・
元々道も狭いので、小さな重機しか入れず、作業も思う様に進まない。
我々1号車の43名は、この集落の特に被害が大きかった4軒のお宅へ配属され、松剣はNさんと共に10名でN本邸の片付けを手伝った。N本邸の裏側。ブロック塀は途中でスッポリ無くなっていた。
土石流はこのブロック塀をなぎ倒し、N本邸の母屋と納屋、庭に雪崩れ込んだ。更にその下にある蔵にも入り込み、畑は完全に飲み込まれ、作物は全滅。田畑は行政が手を入れてくれるのだが、建物は自己責任。何とか近隣の方の手伝いでここまでは綺麗にしたらしいのだが・・・降り続く雨で床下は湿気が溜まったまま。カラッと乾かさないと・・・
今日のミッションは『畳の下の木や敷居、柱などにこびり付いた泥をヘラでこそげ落とす』『納屋と蔵に入り込んだ土砂を掻き出す』『障子やサッシの泥を洗い流す』の3点。
農家のなので道具類は豊富に揃っていて、クワは隙間に溜まった泥を掻き出す事に、ツルハシは泥に埋まった岩や流木を掘り起こすのにとても役に立った。
様々な道具をあれこれ使いながら黙々と作業する。みんな汗だくでドロドロ。真っ暗な蔵は誰かと一緒じゃないとちょっと怖い・・・
仕上げは高圧洗浄で泥を洗い流し、床下に消毒用の消石灰を撒いて終了。
それにしても広いお宅だ・・・
午前中2時間、午後から2時間で本日のミッション完了。明日も別の連合の一団がやって来る。
人的被害が無かったので行政からは後回しにされているこの地域。ボランティアも手薄で、被害が大きかった地域で余剰となったボランティアがポツポツ来てくれる程度だったらしい。
最初は途方に暮れたけれど、ようやく昨日から連合のボランティアがまとまった人数で入る様になり、何とか希望が持てる様になったと言って下さった。少しは役に立てたかな。
テレビ局も取材には来たけれど、人的被害が無いのでテレビでの報道はしませんとキッパリ言って帰ったと言う。おそらく普段はとても温厚な方とお見受けしたN本さん、カチンと来たそうだ。誰の為の報道なんだろうと、松剣も不思議に思い腹が立った。
被害に遭われた全ての地域が復興するにはまだまだ時間が掛かるが、一日も早く立ち直り元気に暮らせる事を願っている。そして犠牲になられた方々のご冥福を心よりお祈りするばかりだ。
2 件のコメント:
結局、8月は雨ばかり。
西日本は、特にその傾向が強く、
ほとんど晴れ間がなかったと聞きます。
テレビをほとんど見ません。
真実の報道、というものがあまりないので。
ニュースを見る時は、音声を消すこともあります。
アナウンサーのヒステリックな声にまどわされずにすみます。
雨は続きます。
年を取り、自分でできていたこともできなくなります。
少しずつ薄汚れていって、心までそうなりそうです。
ボランティアで見えないところをきれいにしている松剣さん、
「そこ一番大事!」と思いました。
うれしかったです。ありがとう。
みゃんこさん
この夏は梅雨かと思う程ずっと雨だった松剣地方。
1日中1回も雨が降らなかったのは8月12日と31日だけでした。
日照時間も例年の半分以下。
食欲の秋に向けて野菜や米の高騰が心配です。
東日本の震災には比べ物にならないかもしれないけれど家族や財産を喪う悲しみや、やり場の無い怒りは被害の規模とは関係無いと思うのです。
ボランティアで実際に被災された方の生の声を聞かせて頂き、つくづく感じました。
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