2024年4月29日月曜日

よい子の部屋

ジュニアと出逢った20代前半、その日暮らしのような生活から脱却すべく就職した会社に、Sさんという女性が居られた。


Sさんは独身で、松剣の母親より少し歳上で女優の樹木希林さんに雰囲気の似た、素朴な方だった。


動物好きと言うことで意気投合し、親子ほど歳の離れた松剣をとても可愛がって下さった。


Sさんは当時、ニャン子のチマとトド、ワン子のシロとゴン太と暮らしていて、相方と二人をよくご自宅に招いて下さり、時にはお母さんとお姉さん夫婦が暮らすご実家へもお邪魔し、採れたて野菜や川で捕まえた魚を料理し振る舞って頂いた事もあった。


松剣が転職した後もこの会社で定年まで勤めあげ、その後も年賀状と電話で親交は続いていたが、昨年6月に82歳で亡くなられた事を妹さんからの喪中葉書で知ったのだった。


今日はそんなSさんの墓参りに出掛ける事にし、妹さんから送って頂いたお墓の地図とご実家の住所をたよりに北へと向かったのであるが、なかなかすんなりとはいかない。


かなりの田舎で店がないと思うから、お供えの花を早目に買っておこうという松剣の意見に、店なんていくらでもあるし花なんてどこにでも売りよるわと、にべもない。




松剣が二十歳まで過ごした隣町で、剣道部の同級生も多くこの町から通っていたので、田舎度合いは松剣の方がよ~く知っている。


部活を終えて汽車で最寄り駅に着くと、家まで自転車で20分くらいかかり、その間街灯はなく真っ暗なんだとか、雪が積もると田畑と道の区別がつかないとか、庭の番犬がまむしに噛まれたなどと聞かされていた、こんな田舎よ?


案の定、店なんてない。隣で相方が必死にググっている。あっ、近くに🌕🌕商店ってある!ここなら絶対あるよと希望に満ちている。


心の中で松剣、多分営業しとらんて。だいたい客なんか来んじゃろと思った。


やっぱりね。でも反対じゃなくて良かったわ。これ松剣だったら、ほらね、うちの言うこと聞かんからよ、だいたいあんたはね%&฿₡₴₯₤₭!!と来たもんだ。


行きつ戻りつでようやく見つけたコンビニで無事に花を購入し、先ずはSさんの実家を目指す。


うわわっ、道狭っ!トラクターと軽トラ専用のような道を慎重に進み、何とか到着。




地図を見ながらそれらしきお墓を発見。




ご実家の裏手の山の中腹に、Sさんはご両親とお姉さんご夫妻、その他のご先祖様と静かに眠って居られた。


そしてSさんが生前、一緒に暮らした可愛い子たちのお墓を建立したと言われていた、そのお墓も同じ場所にあるのを見つけた。妹さんの描いて下さった地図にも、動物たちの墓と標があった通りだ。




よい子の部屋。松剣思わず墓標が歪んでしまった。ああ、Sさんらしい。チマ、トド、シロ、ゴン太、みんな一緒で良かったね。いいお部屋作ってもらったね。その他にも会った事のないワン子やニャン子がみんなここで眠っている。


Sさんは最後、七匹のニャン子と暮らしていていたそうで、入院中もこの子達のために頑張って帰ると言われていたが、力尽きてしまったそうで、今は妹さんの娘さんが世話を続けているという。


この子達もいずれここでゆっくり眠るんだね。Sさんと暮らした子はみんな幸せだったに違いない。


通りがかった占いの人に、あなたの回りには犬やらウサギやら動物がたくさんいると言われたSさん。派手なことは好きではなく、とても穏やかで動物たちを心から愛しておられた。どうぞみんなで仲良くお過ごしください。


お墓参りを終え、気になっていた出汁のお店で昼ごはんを食べて帰ることにした。
















店内では出汁や佃煮、醤油などを販売していて、その横で定食を食べることが出来るのだ。



定食は、アジの開きか卵かけの二種類のみ。プラス100円で出汁茶漬けに、単品100円でだし巻き玉子、プラス300円で鰹の生節がトッピングできる。


二人ともアジの開き定食にだし巻き玉子を付け、松剣はご飯大盛りに生節トッピングの出汁茶漬け。


出汁は、きのこ、昆布、かつお、あご、合わせの五種類から選ぶ。出汁は試飲できるよ、と相方。





かつお、旨いな。昆布も捨てがたい。しかし例によって横から相方が、うちは断然きのこじゃわ、きのこが絶対おいしいよとのたまう。


試飲すると、誠おいしいわ。干し椎茸の風味が抜群じゃ。きのこに決定。




アジの開き、ちっちゃ。でも圧力鍋かなんかで調理しているのか、頭も骨も全部食べられる。トッピングの生節もしっとりでおいしい。


出汁茶漬け、熱すぎてよーわからん。出汁だけ試飲した方がおいしく感じたような٠٠٠全体的に超優しい味で、朝ごはんにはいい感じ。とってもおいしかったが、昼ごはんには物足りませんな。


明日はまた北方面へ、ちょっぴり贅沢ランチを食べに行きます。楽しみだな。



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