お盆を迎える頃になるとお店には色とりどりの灯籠が並ぶ。松剣地方独特の風習だ。
大人の背丈ほどもあるので、昔はハッチバックの後ろを開けたまま乗っけて走る車を多く見かけたが、いつ頃からか40㎝程のミニ灯籠が登場し重宝している。
通常は手前のカラフルなのを、そして白いのは初盆を迎えたお墓に供える。今年は白のミニ灯籠を持ってYの眠る北への市へと向かった。
Y、今日は誕生日だね、おめでとう。松さんもおめでとう!そんなYの声を感じながらお墓に手を合わせる。
去年の誕生日は相方とホテルで中華バイキングを頂いたのだが、Yも別のホテルでお父さんとママの3人で中華料理を食べたと言う偶然に笑ったんだったね。
未だに信じられないんだけど・・・もう一緒に年を重ねる事は出来ないけれど、誕生日には毎年来るから。これまで通りお互いにエールの交換をしよう!
お参りを済ませた後は、相方の行きたがっていた街並みを訪れる為、高速道路で東へと向う。行き先は『ベンガラの町』。
ベンガラは酸化鉄の顔料。安価で人畜無害なので、染物や和紙の色付け、美術工芸用の陶磁の絵付け、神社仏閣のベンガラ外壁塗装に多用されている。歴史も古く、ラスコー洞窟の壁画にも使われたそうな。
このベンガラで栄えた町は、江戸中期から明治の初めに鉱山町へと発展し、最盛期には銅山で働く従業員数が1200人にのぼったそうで、昭和52年に国の重要伝統的建造物群保存地区として選定された。
ベンガラ格子と石州瓦による赤褐色の風情ある商家の町並みはこんな感じ。え〜?!これ便局なんだって!
所々にお土産屋さんもある。
町おこしで色々頑張って来たけどやっぱりダメでした、的なお店も・・・
あっ、ワン子発見!見知らぬ人にワンワン吠えて良い番犬だ。相方は止めなさいと言うが近づいてみよ。
あんなにワンワン言っていたのに近寄ると尻尾プリプリ。尻尾の付け根をさすれ(多分)と言って後ろ向きで催促。一見怖そうだが良いヤツじゃん。暫くしてもう一度通った時には吠える事は無かった。賢いね!
さて、少し歩いたらお腹も空いてきた。早速リサーチしていたお店に向う。上は宿泊施設で下が和風レストラン。
木造の様で本当は違う不思議な建物。隣の小学校を模したんだそうな。結構人気のお店で中は満席。しかし案内されたのは何と宴会場。でも他に誰も居ないからくつろげる空間。
今日は誕生日だから奮発するよ!相方のお言葉に甘えてちょっと良い御膳を注文。肉は自分で焼き焼き食べる。
昼日中から贅沢ですな。まっ、誕生日ですから!
何とか牛はとっても柔らかくて、甘みのある脂がフワッと広がる。美味い!しかし高級肉はちょっとで満足。最近年のせいか、良い肉を食べ過ぎると胸焼けがするんだよね・・・
ゆっくり頂いた後は隣の小学校へ。2012年に廃校となってしまったが県指定の重要文化財。松剣が通った小学校も場所の移転に伴い鉄筋校舎になってしまったが、4年生の始めまで木造だったから凄く懐かしい。
もっと近くに行って中も覗いてみよう。
写真を撮ろうとしていると、相方が少し離れた場所から早く早くと手招きをする。何だ何だ?
滅多にそんな事言わない相方が、タイムスリップして帰れなくなりそうだからもう止めてと言うではないか。へぇ〜珍しい。じゃあ止めておきます。
もう随分と寂れてしまった町だったね・・・相方がかねてから行きたがっていたけれど。反対だったら又文句言われる所だった。でもなかなか風情がある静かな町だったね。お昼も贅沢したし。まっ、いっか。
帰ってからは松剣のリクエストに応えてフレンチトーストで誕生日会。まりもも一緒にお祝い!
大好物のスイカと桃まで準備してくれている!
残念ながらあんずは不参加。招待はしたんだけど・・・
でもこうして誕生日を迎える事が出来るのは本当に幸せな事だ。ありがとう、相方さん。